漆芸
おくくぼ きよみ
日本工芸会正会員
石膏型に漆で麻布を貼り重ねて厚みを作ってから、型から抜き出す脱乾漆で自由な造形をしています。また、縄に漆を染み込ませて漆の乾く力にまかせた造形もしています。加飾は蒔絵や螺鈿、玳瑁を用いますが、布目を赤く顕して黒塗りと対比させ、蒔絵などと同等に扱って文様として取り入れています。元々、大名子女の婚礼調度の中に「角赤」と呼ぶ赤い布目を見せる木胎の箱があり、黒と赤と金蒔絵のコントラストに惹かれていました。自身の作品は継ぎ目が無い乾漆であるため、木地に布を貼って接合部の布を残して下地漆で島のように高く上げて黒く塗るという「角赤」とは異なります。さらに、布目の高さを黒塗りと同じ高さにしているため 自身の布目は「縁赤」「赤抜」と呼び区別しています。
経歴
1984
東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻漆芸分野修了
1993
文化庁主催指定文化財修理技術者講習会修了
1995
第12回日本伝統漆芸展 東京都教育委員会賞受賞
1998
第9回五島記念文化賞受賞
1999
海外研修(東急財団助成 西欧、北米1年)(〜2000)
2003
海外研修(文化庁芸術家在外研修員 ロンドン1年)(〜2004)
2004
SETAGAYA ART展(世田谷美術館)(同2006)
2011
『臺南國際樹漆藝術大展』(台湾)
2012
『125周年記念 漆芸 ― 軌跡と未来』展(東京藝術大学大学美術館)
2014
『関東のうつわ展』(伊丹市工芸ギャラリー)
2016
『中田英寿が出会った日本工芸展』(パナソニック汐留ミュージアム)
2018
『現代漆芸』展(金沢市立安江金箔工芸館)
2019
第35回日本伝統漆芸展 東京都教育委員会賞受賞
2021
『表現する漆 展』(金沢市中村美術館)
咲きほこる花を器に見立てました。
赤い布目部分を蒔絵や黒塗り部分と高さを合わせるように工夫しました。
サイズ
幅 18.0cm、奥行 14.8cm、高 4.0cm
素材
漆、麻布、和紙、金粉、金貝
技法
脱乾漆、蒔絵、布目塗
展示場所
右舷後方通路(6デッキ)
五角形に収めた花々は、正面に向ければどれも主役となり得るのに、他の花とも共鳴し合える、そんな調和の楽しさを表現しています。
大切な物をしまうのに相応しい様に内側は金平目地にしています。頻繁に開けるのではなく中に仕舞い込んでいるという気持ちになってお使いいただければと思います。或いは何も入れずに外側の多角形を、向きを変えながらお楽しみください。
サイズ
径 14.2cm、高 9.8cm
展示場所
2022年~2023年展示
※現在は展示していません。
取り扱い方法
蓋と身は五角形の底辺と三角形の底辺が合わさって閉めることができます。そのため、身の内側の立ち上がりも蓋の五角形や三角形の傾斜に合わせて傾いています。きつく入って開けられなくなるため、けっして身と蓋の三角形同士を合わせて蓋を閉めないようにご注意ください。蓋を開ける時は三角形が垂直に近い傾斜のため、指を掛けると持ちやすく、両手で開ける方が安定します。
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