2023.11.24
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作家情報
山岸家は代々轆轤(ろくろ)師の家柄で、漆芸に縁深い一族です。漆芸の世界に足を踏み入れたのは、山岸氏が初めてでした。お父様からの言葉、「木地を黒く塗ってしまうと見えないから、作った人の気持ちが分かる作家になりなさい。」を胸に、その教えを守りながら精緻な仕事に従事しています。一般的な漆のイメージは黒や赤が主流ですが、山岸氏は色彩にこだわり、紫や緑など漆では珍しい色を作品に取り入れています。自宅周辺の風景や、特に子供たちと同じ目線で見ることで得られる新しい視点を大切にし、これらを作品に昇華させています。
20歳の頃から毎年正倉院を訪れ、作者が分からない作品から情熱的に学び、その過程で毎年異なる発見を得ることができると語っています。これらの経験が、山岸氏の職人魂や色への追求心、子供たちの視点に対する敏感さが、輪島の地で沈金(※)を発展させた源となったのだと感じました。
11月25日(土)の「飛鳥物語」(BS朝日)では、山岸氏が船内で行った講演の模様が放送されます。是非ご覧ください。
https://www.bs-asahi.co.jp/asuka_luxury/
※沈金とは… 沈金は、塗面に鋭利なノミで文様を彫り、薄く漆を塗り金箔や金粉を押し入れ、文様を浮かび上がらせる加飾技法です。